hiro

hiroの日常を語るブログ

無名の名人

升田幸三という棋士がいた。大正、昭和を生き抜いた棋士である。

彼の本で勝負という本がある。その中で印象に残っている言葉がある。

「無名の名人が世の中を支えている。」

名人とは、当代きってのなんらかの芸事、能力を極めた人で、達人や上手よりさらに上の段階に到達した人を指す。織田信長が、茶器の名器のような、並外れた実力を持った碁打ちに対して使った言葉である。

将棋で言えば、名人はその時代最高峰の実力者を指す。升田幸三いわく、そのような人物がこの世の中に知られていないだけで沢山いると。事故を起こしてないタクシー運転手のように。そしてその人の仕事がこの世の中を支えているんだよと。

なるほど。深い考えであると当時思った。おそらくそうだろうと思う。多くの人に知られてないだけで、色々な人が私たちを支えてくれているんだと。

「大切なものは目に見えない。」これは星の王子様で出てきた言葉だが、やはり大切なもの、本質的なものは肉体的な目では見えないものである。升田幸三の慧眼さを感じる逸話である。